2019年3月13日水曜日

*3月のお話* 水色の月





足元に咲く花のように、小さな淡い絵があります。
気づかれず通りすぎてしまう人もきっと多いですが
見つけてもらえたらとてもうれしく。

子どもの頃「季節」という言葉を知ったときから
それが好きでした。
いつも花の絵を描き、夏には海の絵を描き
冬には雪の絵を描き(今とおんなじ…)
季節が変わるごとにただその変化
色、におい、風に感動していました。

目覚めたばかりの若い緑色が、くるくると時計のネジを巻いたら
止まっているように見えた針が進みだす。
あのこが咲き、次にあのこが咲き、あのこは散り。
気持ちより先に、季節は変わってゆく。
時間のヴェールがかかって
「昨日」も「悲しみ」も霞んでゆく。
毎日の「ありがとう」と「さようなら」。

昨年の春、それぞれいつもよりずっと早く咲き始める花たちに
不安な気持ちになりました。
このまま季節がなくなってしまうのではないかと。
時計が狂って、ずっと速く進んでしまう。
たぶん私たちのせいで、急速に変わっていってしまう自然、
とてもこわい気持ちもしました。
今年はどうでしょうか。
もしかしたらスピードが変わってゆくことも
自然のシステムの一部なのかもしれない、
私たちも本当は自然の一部なのだから。
と、少し落ち着いてみられてはいます。

美しい季節が失われないように願いながら
この絵を描いたようにも思います。
時間よ、急がずに。でも、止まらずに。
どうかやさしいスピードで。


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この絵の原画は売約となりました。
気にかけていただいた皆さま
ありがとうございました。
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